蜷川実花「瞬く光の庭」

2022年9月5日

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先日,東京都庭園美術館で開催されていた“蜷川実花「瞬く光の庭」”へ行ってきました。
昨年,上野の森美術館での個展で蜷川実花さんの,いのちの輝きと儚さに視線を合わせた作品群に心を奪われ,今回は その蜷川さんの作品が,歴史的建造物である旧朝香宮邸のアール·デコ様式で装飾された建築内に並ぶということで,想望していました。
シックな屋敷内に叙情的な光彩色の作品が呼応する空間を,植物から植物へと蝶のように回遊しているうちに,胡蝶の夢へと迷い込むかのような幻惑を覚えました。

草花による幻惑は時として,それらの持つ毒により引き起こされることがあります。

“Nulle rose sans épine”という有名な教訓がありますが,家庭内の観葉植物や散歩道を彩る草花の多くは,ワンちゃん・ネコちゃんに毒性があります。

 

今回の展覧会では,藤と紫陽花の写真が飾られた大食堂の空間が最も魅力的でした。

大ヒットアニメ「鬼滅の刃」で鬼避けとなる藤ですが,その鞘や種子に含まれる毒は,動物にも幻惑(嘔吐,下痢,血液量減少,ショック,虚脱等)を見せることになります。また,紫陽花に含まれる青酸配糖体は消化器官で猛毒の青酸に変化し,最悪の場合死に至ります。
そのほか,チューリップ,スイセン,ユリ,スズラン,ヒアシンス,アサガオ,菊,ヒガンバナ…動物に毒性を起こす植物を挙げればキリがありません。

もちろん草花の誤食で全てのペットに症状が発現するわけではありませんが,普段から,ペットの誤食には注意し,誤食してしまった場合には,その植物の毒性についてインターネットで検索をしたり,病院へ電話相談をして,明らかな体調の変化がある場合には受診することをお勧め致します。

 

三村(晃)